赤は「止まれ」、黄は「注意」、青は「進め」。
日本人ならば小学生のうちから学校でも教わる交通ルールの常識です。
世の中の事柄にはこのような様々なルールが存在し、人々が事故やトラブルを起こさない様なシステムが存在してます。
その身近な例が信号機です。
日本社会では、子どもから大人まで「道を渡れるかどうかは信号機の点灯している色によって変わる」と理解しているのです。
そんな人々を事故から守っている信号機は、人や車が行き交う道路だけでなく鉄道にも存在しています。
我々が普段何気なく利用している電車も、鉄道信号機をもとに運転しているおかげで日々安全に運行されており、我々も安全に行きたい場所にいつでも行けるのです。
鉄道が多くの市民の交通手段となっている都市部では、それらのおかげで街全体が動いていると言っても過言ではないかもしれません。
今回はそんな鉄道信号機の役割を分かりやすく紹介していきます。鉄道信号機の知識から鉄道の世界に触れてみて、ちょっとだけ周りに自慢してみませんか?
鉄道信号機の役割とは
鉄道の線路脇に設置されている、前方の状況を運転士に伝える装置のことを言います。
信号機は運転士に列車が安全に進行できる速度や停止を指示、運転士は信号機の現示(信号によって示される現在の状況あるいは車両に対する指示)を確認してそれに従って運転を行っています。
鉄道信号の表示①~停止・注意・進行~
当初イギリスから技術を取り入れて鉄道を発展させた日本は、信号もイギリス流の信号方式を取り入れていましたが、技術の進化によって列車の速度は上がっていきました。
それによって進行と停止の中間となる注意の現示が必要になり、それぞれ制限速度を定めていった結果、速度の指示も加えられていったのです。
鉄道信号機も一般道の信号機と同様、赤・黄・青(緑)の3色を採用しているタイプが主流となっています。
ですが色それぞれの意味合いは一般道のものとは少し違っており、中には4灯以上の鉄道信号機もあります。
■赤:停止。「この信号機を越えて先に進んではならない」
■黄:注意。「最高速度に一定の制限を加えた遅い速度で進むことができる」
■青(緑):進行。「その路線で定められた最高速度までの範囲内で進むことができる」
なんとなく、ニュアンス的には一般の信号機と似ていますね。
鉄道信号の表示②~警戒・減速・高速~
しかし、停止・注意・進行のこの3つの表示のみでは列車を安全に運行するのに不十分です。
前述した様に、鉄道信号機には安全に進行できる速度の指示も必要だからです。
速度による指示は主に「警戒」「減速」「高速進行」があります。
ですが、赤黄青の3灯のみで表示するには困難なため、これら3つの表示が必要な鉄道信号には更に黄と青(緑)を増やした4~6灯の信号機が使用され、下記の様に表示されます。
■黄&黄:警戒。
■黄&青(緑):減速。
■青(緑)&青(緑):高速進行。「時速130kmを超えて進んでもよい」の意味。
警戒も減速も、黄の「注意」と同様の、速度を制限させる指示です。所定の速度よりも遅い速度で進行することを条件に進行ができることを意味します。
新幹線を除く在来線は、以前は最高速度が130km/h以下(青函トンネルは140km/h)とされていましたが京成電鉄の成田スカイアクセスなど一部で最高時速160kmの鉄道路線が整備されたため、新たに「高速進行」という表示が生まれました。
それぞれの表示が示す速度、所定の速度は鉄道会社によって異なりますが、速度の遅い順番に並べると、一般的に以下のようになります。
【遅い】 【早い】
停止→警戒→注意→減速→進行→高速進行
人も車も電車も、大事なのは距離感!
この様に鉄道信号機は速度に関して細かく表示分けを行っています。
これは列車同士の衝突事故を防ぐためです。
通常鉄道路線は一定の間隔で細かく区切られ、ひとつの区間には1本の列車しか入れないという原則が設けられており、必ず車間距離が保たれる様になっています。
そのため、その区間の境界付近には「閉そく信号機」という信号機が設置されています。
例えば、次の区間に列車がいる場合は赤を表示して列車を停止させ、ふたつ先の区間を列車が走行中の場合は黄色の注意を示して速度を落とさせる、といった様に各列車の速度が調整されています。
この様に1区間に1列車の原則を厳守し、車間距離が厳密に保たれているのです。
まとめ
今回は「鉄道信号機の役割と意味」について解説しました。
他にも鉄道信号機の現示と見通し確認の方法[鉄道施工管理職員が解説]の記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。
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