小さい頃に、誰しもがなりたいと思ったことのある「電車の運転士」
実際に運転するには、電車の運転免許が必要です。
正確には「動力車操縦者運転免許」と言いますが、これは国家資格であり、合格する為には定められた学科講習や技能講習が必要となります。
今回は、運転士になるために必要な「動力車操縦者運転免許」について解説していきます。
鉄道会社への就職を考えている方、運転士を目指している方、必見です。
電車の運転士ってカッコええな!
動力車操縦者運転免許とは?
運転士といっても、新幹線や蒸気機関車、路面電車など、動力によって数多くの分類分けがされており、それらをまとめて、動力車操縦者と呼びます。
車の免許と同じで、法律に定められた試験項目をクリアすれば取得は可能ですが、列車の運転の実技試験などもあるので、鉄道会社に所属していない独学状態での受験はほぼ不可能です。
動力車操縦者運転免許の種類とは?
「動力車操縦者運転免許に関する省令(昭和三十一年運輸省令第四十三号)」に定められている運転免許の種類は以下の通りです。
・甲種蒸気機関車運転免許
・甲種電気車運転免許
・甲種内燃車運転免許
・新幹線電気車運転免許
・第一種磁気誘導式電気車運転免許
・第二種磁気誘導式電気車運転免許
・第一種磁気誘導式内燃車運転免許
・第二種磁気誘導式内燃車運転免許
・乙種蒸気機関車運転免許
・乙種電気車運転免許
・乙種内燃車運転免許
・無軌条電車運転免許
このように、運転士の免許には多くの種類があり、免許で許されている車種しか運転してはいけません。
一般的に「電車」と呼ばれている、山手線などの架線からの電力で運転している列車の運転免許は「甲種電気車運転免許」です。
鉄道会社で運転士を目指すなら、この種類の免許を最初に取得して、運転士を目指す流れとなります。
補足として、新幹線の運転士を目指している方もいるかと思いますが、入社後すぐにはなれません。
多くの鉄道会社では、在来線の運転士を経た後「新幹線電気車運転免許」を取得させ、新幹線の運転士としてデビューとなります。
これをJRでは、「転換」と呼びます。
運転士の学校、動力車操縦者養成所とは?
電車の運転士は国家資格であり、国が定めた所定のカリキュラムを学ばなければなりません。
動力車操縦者運転免許に関する省令第17条の規定に基づき、「動力車操縦者養成所」で学ぶことになります。
これは一体どこにあるのでしょうか?
動力車操縦者養成所は、全国の鉄道会社が自社でそれぞれ受け持っており、国から指定を受けている必要があります。
会社によって、「 JR東日本総合研修センター」「京成電鉄研修所」など、呼び名は様々ですが、すべて鉄道会社が運営しています。
動力車操縦者運転免許のカリキュラムとは?
動力車操縦者運転免許も車と同様、定められたカリキュラムによって取得が認められます。大きく分けて、2つの講習があります。
- 学科講習
- 技能講習
運転に必要な理論や学術を身につける「学科講習」と、実際の運転操縦を身につける「技能講習」に分かれています。
学科講習
運転士になるための学科講習はほとんどの場合、自社の動力車操縦者養成所にて行います。
「運転法規」「車両の構造」「電気」「鉄道信号」など、運転に必要な内容を講師が解説する授業形式での受講となっております。
ほとんどの鉄道会社は自社の養成所を持っていますが、資金難の地方の第三セクター会社などは大手の鉄道会社の養成所に、研修を委託する場合が多いようです。
カリキュラムは数百時間かけて約3ヶ月間行うため、かなりハードな内容となります。
多くの場合、養成所に寮があり自宅から通うことは困難な為、閉鎖空間が苦手な方は馴染むまで時間がかかると思われます。
カリキュラムの最後に、「学科試験」と呼ばれる最終の確認試験があり、これは国家試験なので、落ちたら技能講習に移れず運転士になることはできません。
技能講習
学科試験に合格したら、いよいよ「技能講習」に移ります。
技能講習とは、多くの鉄道会社の場合、実際の営業列車に乗って車両の操縦を学んでいく過程です。
師匠(鉄道会社によって呼び方は様々ですが)と呼ばれる教育担当が運転士見習いに付き、その路線の特徴、制限速度、車両の構造など、みっちり教育していきます。
この技能講習を数か月行って、次に「技能試験」を行って運転士の免許を取得する流れとなります。
技能試験は、出庫点検、距離目測、運転試験、あとは故障時の応急処置、事故時などに対する非常処置など、幅広い項目がありすべて合格点に達していないといけません。
技能試験で落ちるよりも、師匠とウマが合わず諦めてしまった人の方が多いと聞きます。
この点については、後日別記事で詳細を語りたいと思います。
技能試験に合格すると、動力車操縦者運転士免許取得となります。
実際にはこの後、数か月見習いを継続し、現場の管理職からのOKサインをもらって、単独乗務ができます。
単独乗務ができるまで、学科講習開始から約1年といったところでしょう。
まとめ
誰もが憧れる電車の運転士ですが、なるためには鉄道会社に入社し、長いカリキュラムと教育役の師匠との関係が重要となるため、決してハードルの低いものではありません。
また、身体的な適性検査もクリアしてないといけません。
「運転士になる夢を叶えたい」という方は、今回解説した運転士になるための流れや資格、試験の概要を頭に入れ、進路を考えてみてはいかがでしょうか。
悲観的になるのではなく、「こういう情報が分かって対策とか選択ができるから逆に良かった」というようにポジティブに行きましょう!
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